映像生成はSeedance 2.5。編集操作もAIに任せるPR動画のつくり方
学生インターンが実践した、手作業をほとんどせずに動画を形にする制作フロー。
学生インターンとしてのPR動画制作で整理した手順を、個人でも試せる形にまとめました。まずは15〜30秒の短い動画で、企画→台本→素材生成→編集→確認の流れを体験してください。
このガイドのプロンプトと例示台本は、公開用に新しく作成したサンプルです。実際の企業案件の台本や入力内容そのものではありません。生成結果は毎回変わるため、同じ品質を保証するものではありません。
01|何のAIを、どこで使ったか
- Seedance 2.5:動画に使う映像素材の生成。映像生成はこのモデルを軸に進める。
- ChatGPT:企画・構成・絵コンテ・生成プロンプトの整理や相談。
- ChatGPT Atlas:編集画面を自動操作。カットや音声素材の挿入など、編集作業の操作を任せる。
- Canva:映像・音声・文字をまとめる編集画面。今回の制作では、その画面操作をChatGPT Atlasに依頼。
今回の制作で大きな役割を果たしたのはSeedance 2.5です。複数の動画生成AIを使い分けるのではなく、映像素材の生成をSeedance 2.5を中心に進めました。
さらに、編集のカットや音声素材の挿入もChatGPT Atlasに操作を依頼。制作者本人が編集画面で手を動かした場面は、ほとんどありませんでした。主に担当したのは、方向性を伝えることと、出力を確認して修正を指示することです。
「映像生成はSeedance 2.5で完結」がこの制作方法の打ち出し方です。企画相談と編集操作にはChatGPT・ChatGPT Atlas、編集画面にはCanvaを使っているため、動画制作の全工程をSeedance 2.5単独で実施したという意味ではありません。
ここからは、この実践をもとに再構成した手順を紹介します。以下のプロンプトは公開用サンプルで、実際の操作履歴や入力内容そのものではありません。自動操作でできる範囲は、編集画面や利用環境によって変わります。
02|最初に「誰に何を伝えるか」を決める
動画を生成する前に、①届けたい相手 ②伝えたいことを1つ ③見た後の行動を決めます。公開済みの事実だけを材料にし、AIが補った企業情報をそのまま採用しないでください。
企画を整理するプロンプト
あなたは短いPR動画の構成を考える編集者です。
以下の情報だけを使って、30秒の縦型動画の企画を3案出してください。
対象:[届けたい相手]
伝えたいこと:[一番伝えたいメッセージを1つ]
確認済みの事実:[公開してよい情報のみ]
見た後にしてほしい行動:[例:公開ページを見る]
雰囲気:[例:親しみやすく、落ち着いている]
各案を「導入/中盤/結び/視聴者の感情の変化」で整理してください。
根拠のない実績・数値・体験談は作らないでください。
足りない情報は推測せず質問してください。
企画は「映像が派手か」だけでなく、対象の人にメッセージが伝わるかで選びます。
03|ナレーションと絵コンテを先につくる
先に語りの内容を決め、声に出して読んで時間を測ります。その長さに映像を合わせると、生成した素材の作り直しを減らせます。
絵コンテは絵でなくても大丈夫です。「秒数/映像/語り/画面の文字/感情」の表を作ります。1カット3〜5秒程度を出発点に、内容に合わせて調整します。
台本・絵コンテをつくるプロンプト
次の企画を30秒の絵コンテにしてください。
企画:[採用した企画]
確認済みの事実:[公開してよい情報]
表の列は、シーン番号、秒数、映像、ナレーション、画面の文字、感情。
合計30秒を目安に、1カット3〜5秒程度で構成してください。
ナレーションは実際に読める量に絞ってください。
画面の文字は要点だけとし、語りを重ねるか補足するかは読みやすさで選んでください。
映像には、生成しやすい具体的な動作を1つずつ書いてください。
最後に、生成前に確認すべき情報を挙げてください。
架空の題材で考える例
テーマを「初めての勉強会への参加」にすると、導入は会場前で立ち止まる、中盤は席に着いて話を聞く、結びはノートを閉じて小さくうなずく、と分けられます。会社の実際の台本を使わず、自分の題材に置き換えて練習しましょう。
04|参照素材と最初の1カットを用意する
同じ人物を複数の場面に登場させる場合は、使用許可のある人物画像や、自分で用意した架空の人物画像を基準にします。人物・服装・光・場所の指定をそろえます。
最初に良い1カットを作り、その画像や動画を次のカットのお手本として使います。参照機能がない場合は、同じ人物設定を繰り返しても完全な一致は難しいため、手元や風景も組み合わせます。
参照素材は役割が分かる少数から始めます。社員の顔写真、未公開のオフィス画像、社内画面を無断で入力しないでください。
05|映像は短く分けて生成する
1回の指示には、カメラの動きと人物の動作を詰め込みすぎないこと。「不安そう」だけでなく「ノートを見つめ、視線をゆっくり上げる」のように見える動作で伝えます。
使い回せる動画生成テンプレート
【参照素材の役割】
人物画像:[この人物の顔・髪型を基準にする]
基準画像/動画:[服装・光・背景の基準。対応する場合のみ指定]
※参照の指定方法は使用ツールに合わせる。
【映像】
長さ:5秒。ワンカット。
画角:縦型9:16。
場所:[具体的な場所]
人物:[人数・服装・髪型]
動作:[誰が何をするか、1つの動作]
表情:[目線や口元などの具体的な変化]
カメラ:[固定/ゆっくり寄る、など1つ]
光と色:[明るさ・暖かさ]
音:[必要な環境音。不要なら音声なし]
【避けたいこと】
画面内の文字、字幕、ブランドロゴを出さない。
急な場面転換や、大げさな表情を入れない。
【そろえるもの】
人物の顔・髪型・服装と、前後のカットの光を保つ。
そのまま試せるサンプル
5秒、縦型9:16、ワンカット。
架空の成人1人が、明るい自宅の机でノートを開いている。
無地のベージュのシャツ。背景は整った本棚。
ノートに短く書き込み、ペンを止めて小さくうなずく。
カメラは斜め前から固定。窓から柔らかい朝の光が入る。
落ち着いた自然な表情。音声は不要。
ノートの文字は読めない距離にする。
字幕・ロゴ・場面転換・大げさな表情は入れない。
生成後は顔、手、服装、背景、動作を確認します。失敗したら「何が違ったか」を1つ決め、そこだけ変えて比較します。生成前には消費クレジットや料金を確認しましょう。
06|うまくいかないときの直し方
- 顔が変わる:基準の人物画像を確認し、矛盾する参照を減らす。近い構図で試す。
- 服装が変わる:色・形・ロゴの有無を明記。古い服装の参照が残っていないか確認する。
- 動作が不自然:動作を1つに絞り、カメラを固定して試す。
- 表情が強すぎる:「悲しい」などの抽象語を減らし、視線や口元の変化で指定する。
- 文字が崩れる:生成映像に文字を書かせず、編集でテキストを重ねる。
- 語りが収まらない:語りを短くするか、カットの尺や構成を調整する。
修正を相談するプロンプト
動画生成の指示を1点だけ改善してください。
元の指示:[元のプロンプト]
実際の結果:[何が起きたか]
望む結果:[どう直したいか]
維持する点:[顔、服装、背景など]
原因は断定せず候補として示し、最小限の変更案と修正版を出してください。
07|声とBGMを用意する
自分で録音するなら、静かな場所で1文ずつ録り、前後に少し無音を残します。声を整えたら全体の音量をそろえます。
AI音声を選ぶ場合は、利用条件を確認します。他人の声を再現する場合は本人の許可が必要です。実録音を使った場合は「音声もすべてAI生成」と表現しないようにします。
BGMは、語りがある場所では小さくします。ナレーションと歌詞が重なると聞き取りにくいため、最初は歌なしの曲で組み立てます。音源の商用利用・SNS公開・クレジット表記などは、実際の契約プランと利用条件で確認してください。
音楽の方向性を言葉にするプロンプト
次の動画に合うBGMの制作指示を日本語で作ってください。
テーマ:[動画のテーマ]
長さ:[秒数]
感情の流れ:[前半→後半]
ナレーション:あり
希望:歌なし、語りを邪魔しない控えめな編成。
テンポ・楽器・曲の展開を具体的にしてください。
特定の楽曲やアーティストの模倣は指定しないでください。
08|編集操作をChatGPT Atlasに依頼する
Canvaなどの編集画面を開き、映像素材・台本・音声素材を用意します。今回はカットや音声素材の挿入をChatGPT Atlasに依頼しました。自分で一つずつ操作する代わりに、完成形と作業の順番を文章で伝えます。
編集操作を依頼するプロンプト
この編集画面で、用意した素材からPR動画を組み立ててください。
【完成形】
長さ:[例:30秒]
比率:[例:9:16]
台本:[シーン別の秒数・語り・画面の文字]
映像素材:[ファイル名と使うシーンの対応]
音声素材:[ファイル名と使う位置の対応]
BGM:[ファイル名、または今回は使わない]
【作業順】
1. 元の編集内容を残せるよう、可能なら複製を作る。
2. 映像を台本の順に並べる。
3. 指定した秒数にカットし、音声素材を挿入する。
4. 映像にもともと付いている不要な音声をミュートする。
5. 語りに合わせてタイミングを調整する。
6. 台本にある文字を入れ、書体と色をそろえる。
7. BGMがある場合は、語りを邪魔しない音量に調整する。
まずは冒頭の1シーンを編集し、結果を見せてください。
操作できない箇所や判断に迷う点は、進める前に知らせてください。
外部への公開、追加の支払い、元素材の削除は行わないでください。
一度に完成まで任せず、最初の1シーンで、指示どおりにカットや音声の挿入ができるかを確認します。その後に残りを依頼すると、意図のずれを修正しやすくなります。操作が止まった箇所だけ必要に応じて対応し、仕上がりは自分で再生して確認します。
修正指示の例
[00:08〜00:12]の場面だけ修正してください。
ナレーションが終わる前に映像が切れているので、声の終わりに合わせて尺を延ばしてください。
他の場面の順番、文字、音量は維持してください。
修正後、変更した箇所と確認できなかった点を教えてください。
文字はスマートフォンで読める大きさにし、重要な情報を画面の上下端に寄せすぎないようにします。自動操作後も、文字・音量・カット位置を再生して確認してください。書き出したファイルも必ず見直します。
09|完成前に見直す
- 最初の数秒で、何についての動画か分かるか。
- 伝えたいことが1つにまとまっているか。
- 根拠のない数値や、実在しない体験談が入っていないか。
- 顔・手・文字・口の動きに不自然さがないか。
- スマートフォンで文字が読め、声が聞こえるか。
- 素材、人物、音声、音楽の利用範囲を確認したか。
- 社内画面や個人情報、未公開の内容が入っていないか。
第三者に見てもらうときは、先に「誰に、何を伝える動画か」を共有します。「どこで分かりにくかったか」「長く感じた箇所はどこか」を聞き、修正します。
まずは、5秒の1カットから
最初から長いPR動画を完成させる必要はありません。Seedance 2.5で1カット作り、ChatGPT Atlasに編集操作を依頼する。その後に3カット、15秒、30秒と広げていくと、手順を覚えやすくなります。
このガイドは、制作マニュアルの手順を一般向けに再構成したものです。企業固有の台本、社内体制、内部リンク、元資料の添付ファイルは掲載していません。